電験三種 勉強法
電気主任技術者とは
まず電気主任技術者とは「事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、設置者が電気事業法上置かねばならない電気保安のための責任者である」と定められています。一種から三種まであり、以下のように区分されています。
- 第一種電気主任技術者免状
すべての電気工作物
- 第二種電気主任技術者免状
170,000V未満の電気工作物
- 第三種電気主任技術者免状
50,000V未満の電気工作物
(出力5,000kW以上の発電所を除く)
電験三種は5万ボルト未満の施設や工場で保安監督ができる資格ということです。電気工作物の種類については説明を省きます。試験でも法規で出題される内容かと思いますので気になる方はお調べ下さい。
試験の概要
電気主任技術者の試験は、一般財団法人電気技術者試験センターが行っており、試験の概要は以下の通りです。
- 願書申込み受付期間
5月下旬 - 6月中旬頃まで
- 試験日程
9月上旬頃
- 受験料
郵送申込み:5,200円
(インターネット申込み:4,850円)
- 合格発表日
10月下旬頃
- 受験資格
学歴・年齢・性別・国籍などの制限は無い。
- 試験科目
4科目(理論、電力、機械、法規):マークシート(五肢択一)方式
- 出題範囲
理論:電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
電力:発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
機械:電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
法規:電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理
試験難易度
第三種電気主任技術者
難易度 ★★★★★★★☆☆☆ 7
勉強法
勉強を進めるにあたって
これはどの資格の勉強にも共通していることですが、まず1回問題を解いたら一定の期間が経ってから、もう一度同じ問題を解いていくことが重要です。その期間や回数は人それぞれでいいのかもしれませんが、僕は土日に章末問題を、最低1章分を目安に順番に解いていきました。今学習中のところまで完了した場合は、一旦最初の章に戻って繰り返しました。
<例>学習の進め方
- 平日は参考書を進める
- 土日は章末問題を解く
あえて土日を平日と違う気持ちにすることによって頭をリセットするのと同時に、決まった周期で復習をして知識を定着させようと考えたからです。1日の中で復習までしようと思うとあまりにも苦しいので…。実際うまくいったと思います。復習のほうが気合も入って集中できました。忘れた頃にやるから「あぁ、こんな問題あったけどどうやって解くのだったかな」と頭の中で思い出そうとします。憶えていればスムーズに進みますので、早く1日の目標を達成できた時はゆっくりすることもできます。頑張り過ぎると脳が疲れてしまいます。
仕事や用事によっては、土日に限らず自分の生活にあった曜日や間隔を設定すればいいと思います。
計画と時間配分
まずは自分が試験勉強を開始して受験するまでの期間を決めたら、平日1日に必要な勉強時間と土日に必要な勉強時間を計算しましょう。
<例>平日0.5時間、土日4時間
もちろん土日は土曜日だけでもいいですし、日曜日だけでもいいと思います。自分にとってやりやすい曜日や期間を設定してみて下さい。合計時間が計算できたら、その時間が妥当な時間かどうかを確認します。やってみないとわからない部分ですが、しっかり想像して設定したほうがいいと思います。余裕を持った計画をお勧めします。
または各科目にそれぞれ何時間必要かを考えて、合計時間を計算する方法でもいいかと思います。参考までに僕の勉強記録を紹介します。
アプリに記録する
勉強する時は記録をつけることをお勧めします。studyplusというアプリに勉強時間を記録することです。参考書ごとにどのくらいの時間をかけたのかを、グラフや表で把握することができます。時間を把握することで、目標に対しての進捗管理ができることが一番の利点だと思います。電験三種にかかわらず、複数の科目がある参考書を利用して勉強する場合には、とても重宝します。何よりどれだけ勉強したかわかるので、達成感が得られてやる気が持続します。この達成感が次のやる気を引き出してくれると思います。
実際の勉強時間
理論
総勉強時間 約197.5時間*1
理論から勉強を始めることをお勧めします。なぜなら理論課目が全ての基本になっているからです。この理論課目を後回しにすることは、かなり効率が悪いです。実際この科目に恐ろしいほどの時間がかかってしまい焦りましたし、発狂するほどの苦しい経験もしました。今までの勉強の中でこれほど苦しんだことはありませんでした。内容が難しいためか、電気の知識がなかったためなのかはわかりませんが、交流に入った途端に意味がわからなくなり、進めない時期がありました。それでも乗り越えられた自分を褒めてあげたいですね。
5月末には理論の参考書を終えて、電力の参考書に進みました。もちろん土日の章末問題の復習は続けながらです。
僕の思う、おおよその目安です。
- 目安
大学(電気関係)卒:30時間
工業高校卒・物理履修者:50時間
普通高校卒・他:100時間
最低でもこれぐらいの勉強時間が必要ではないかと思います。もちろん人によって全然違いますが、このぐらいは勉強する必要があると思って計画を立てたほうがいいと思います。
電力
総勉強時間 約104.4時間
電力も時間がかかりました。始めは発電所関連だったのですが、暗記要素が多くて、特に理屈が難しいというのはなかったので順調に進みました。単純に興味が湧いてきたのもよかったのでしょう。原子力発電の社会的な問題もクローズアップされることも多かったですからね。しかしその後の送電や配電の分野が難しくて、特に%Z(パーセントインピーダンス)やsin、cosを使った計算式が、なかなか理解できずに苦しみました。
ただ幸いなことにこの頃に、理論の交流分野でわからなかったところも、やっと理解ができるところが増えてきました。最初は訳が分からないことだと思っていたことも、何度も問題を解くうちに、何となく理解できるようになるんだなと気付きました。すごく気持ちが楽になったのを覚えています。
- 目安
大学(電気関係)卒:20時間
工業高校卒・物理履修者:30時間
普通高校卒・他:50時間
機械
総勉強時間 約90.3時間
機械は難しかったですね。計画は余裕を持って立てていたのですが、さすがに焦りを感じました。初めてこの参考書だけでは、ダメなんじゃないかと思いました。全く参考書に書いてあることが理解できませんでしたから。僕は今まで機械にさほど興味もなく生きてきましたし、電動機(モーター)がどんな構造か知りませんでした。未知の世界だったことも、イメージが湧かず理解しにくい理由だったかもしれません。
そんな時にYouTubeでいい動画を見つけました。行き詰まると頻繁に見るようになりました。
もっと早くこの動画に出会えていれば、もっと理解してから試験に臨めたと思います。イメージ的には工業高校の放課後に、電験三種対策の授業を動画にしている感じです。ぜひ皆さんは、早い段階でこの動画を見て下さい。人から言葉で教わると理解度が違いますよ。
僕は試してないのですが、いろいろな方がお勧めしている方法があります。それは工業高校の教科書を購入することです。説明が丁寧で絵もあり、電験三種で初めて電気や機械に触れる方に最適だそうです。高校で実際に採用されているので、わかりやすいのも納得ですよね。もし参考書を開いて一歩も進めなくなったら、工業高校で使われている教科書を購入してみるのもいいかと思います。ただ費用はどうしてもかかってしまいますが、合格するためなら仕方ありませんよね。
- 目安
大学(電気関係)卒:20時間
工業高校卒・物理履修者:40時間
普通高校卒・他:80時間
法規
総勉強時間 約34.6時間
法規は意外と短時間で済みました。参考書を1度最後まで読んだだけで、その後は過去問題集だけをしました。もちろん参考書の章末問題もしたのですが、文章問題が多く解答を覚えてしまったので、過去問題集を多く解くことにしました。正直なところ過去問題集中心で大丈夫だと思います。運良く62点取れただけなので確実とは言えませんが、全部完璧に憶えることはできませんし、試験前の1ヶ月に集中して勉強するほうが得策だと思います。早く始めても忘れてしまう可能性の方が高いです。
各科目にはA問題とB問題があるのですが、法規に関しては、特にB問題の計算問題はぜひとも点を取りたいところですので、需要率や不等率、力率改善や全日効率などの計算問題は、確実に計算できるようにしておけば高得点が狙えますし、A問題の得点率が低くても合格する確率が高まります。
- 目安
大学(電気関係)卒:30時間
工業高校卒・物理履修者:40時間
普通高校卒・他:40時間
4科目合計
4科目総勉強時間 約427時間
4ヶ月半の間ではありますが、これだけ勉強したんだなぁと自分でもすごいなと思います。決して楽ではありませんでしたが、今となってはいい思い出になっています。土日には9時間連続で勉強してましたからね。正直もうできないです。
別の記事で参考書について紹介したいと思います。
*1:※4月がないですが、過去のもので確認取れない為です。申し訳ありません。